[jfriends-ml 11390] Re: 俗流オブジェ クト指向 (Re: UML)

[murayama <locutus@xxxxxxxxxxxxxxxx>]

UML否定派の村山@netgeneです．

>「OOでは、分析段階で抽出して「型」は設計書での「クラス」、ソース「class」
>としてシームレスに段階的に詳細化されていきます。実装段階で分析クラスの修
>正がはいるのも日常茶飯事です。ですから、分析・設計の実装イメージがわから
>ないと、分析・設計自身が成立しないと言えます。」

>2，OOでは未だシームレスに段階的に詳細化されることはない．
> 特にモデルから実装へのギャップは極めて大きい．

> 「UML派の定義」と言われると難しいですが，上のような考え方がその一例です．
> UML否定については，その後の私の意見の2番辺りがその根幹部分です．
> まあ，あれも「俗流UML主義者」なのかもしれませんけどね．

ポールクルーグマン著，「良い経済学 悪い経済学」P.264 より引用．
#探すのに苦労しました．(^^;

「まともな国際経済学者と俗流経済論者との違いをもたらす知識を一つだけ
  示すとすれば，それは，世界経済が『どれだけ大きいか』である．」
「先進国には3000万人の失業者がいるが，その要因を計量分析した研究の
  どれを見ても，途上国との競争の影響はたとえあるとしても，わずかで
  あることがわかる．」


これをオブジェクト指向に置き換えると，

「まともなオブジェクト指向と俗流オブジェクト指向との違いをもたらす
  知識をひとつだけ示すとすれば，それは，モデルと実装との間に横たわる
  ギャップが『どれだけ大きいか』である．」

と言うと，分かりやすいでしょうか．
＃計量分析した研究はないでしょうね．「経験的には極めて大きい
＃ことが知られている」と言って良いでしょうけど．

「そのギャップが小さく，シームレスに実現できる．」
という希望的観測に基づいているのが，俗流オブジェクト指向．

「そのギャップが極めて大きく，モデルは実装の役に立たない．」
（或いは「ソフトウエア開発に銀の弾丸はない．」と言っても良い．）
という厳しい現実を直視するのが，本物のオブジェクト指向．


こう考えると，プログラミングを理解していないと，なぜ，オブジェクト指向が
理解出来ないのかも頷けますね．

プログラミングを理解していない人は「俗流オブジェクト指向研究者」から，
「そのギャップが小さい」「シームレスに実現できる」と言われると，それを鵜
呑みにしてしまうことがある．（実際に，ごくごく小規模で単純な世界，クラス
設計が自明なほど単純な世界では，これもあながち嘘ではない．）まして
遙かに難解な本物に手を出すことなどない．

しかしプログラミングを理解している人は，モデルと実装との間のギャップがい
かに大きいかを身をもって経験し理解している．だから，そのような事実の裏付
けのない希望的観測には耳を貸さない．だからこそ，俗流オブジェクト指向より
も「直感的でなく，難解な説明で読者を混乱させる」本物を学ぶこともあるし，
理解するチャンスも得られる．


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